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2024年度第2回卓話会報告

東京科学大学リベラルアーツ研究教育院(ILA)の山崎太郎教授を迎え、「言葉・音・文化 - リベラルアーツ再考」の演題で、3月7日(金)川崎商工会議所において講演会を開催し、約70名が参加しました。

山崎先生は1987年東大文学部(ドイツ文学)卒 1990年修士修了で、1993年に東工大着任以降、外国語教育センター、ILA教授、同院長を歴任されました。

東工大ではかねてより教養教育が重視され、それが2012年のILA設立に至った過程の解説から講演が始まりました。東京医科歯科大学との統合では同学の教養部教員約20名が加わって、総勢教員約80名の東京科学大学ILAとなり、早速、双方の教員たちが協力しあいながら、新年度のリベラルアーツ導入科目『立志プロジェクト』に向けて理工系・医歯学の合同クラス授業を準備しているとのことです。

そして、リベラルアーツとは人間を豊かに自由にする技であり、その観点から語学教育に話が及びました。語学を学ぶ事で、異国の文化や考え等に触れるだけでなく、母国語を使う生活の中で囚われた思考や行動様式から解き放たれて自由になれると述べられました。語学教育は、まさにリベラルアーツに通じるものだと認識できた次第です。

専門のドイツ文学の話題ではオペラ作曲家としてのワーグナーを取り上げ、彼の生きた時代では、資本主義や科学文明が人間性の消失に繋がったとする批判的視点を作品に投影させたと、解説されました。また、音楽作品の中では様々な和音で複雑な心理描写を表現した事例を、実際の音声ビデオで紹介されました。

中身の濃い内容で、会場からの質問にも丁寧にお答え頂き、有意義な卓話会講演となりました。

大石 庸之(S51高分子、S53修化工)